歯磨き粉の選択について part1
こんにちは!
平和台ファミリー歯科のドクター三浦です!
本日の内容は、歯磨き粉の選択についてです!
『歯磨き粉はなんとなーく市販のもの買って使っとけば良いかなぁー』って思ってたりしませんか??
ちなみに、その歯磨き粉は『なにを目的に』選んで買っていますか??
『歯を綺麗にしたい』
『むし歯になりたくない』
『歯周病予防』
『知覚過敏を和らげたい』
たくさんあると思います!
実は歯磨き粉の選択は『自分がどのような効果を得たいか?』によって変わってきます!!
上記に挙げたものを改善する歯磨き粉の成分はすべて違います。
例えば、
『歯を綺麗にしたい』→研磨剤:リン酸水素カルシウム、水酸化アルミニウム etc…
『むし歯になりたくない』→フッ素:フッ化ナトリウム、モノフルオロリン酸
『歯周病予防』→殺菌剤:トリクロサン、塩化セチルピリニジウム
『知覚過敏を和らげたい』:乳酸アルミニウム、硝酸カリウム
歯磨き粉によって各成分の配合されているバランスも異なるため
『自分が何を治したいか?予防したいか?』などによって選択する歯磨き粉はかわってきます!
(是非歯磨き粉の成分表をcheckしてみてください!)
では、少し各成分に関して詳しく見ていきましょう!
今回に説明するのはフッ素です!
フッ素は原子番号9番の元素になります。
単体では反応性が高いため化合物として存在します。
フッ化物含有の歯磨き粉が市場に出はじめたのは1970年代ごろ。
当時の予防メカニズムとして考えられていたのは、
高濃度のフッ化物を歯面に塗布し、耐酸性のフルオロアパタイトを形成し、酸による脱灰を防ぐというのが主流でした。
1980年代になり研究が進み、0.1ppm前後のフッ化物濃度でも脱灰を抑制できるということが分かり、(1%=10,000ppm)
フッ化物含有の歯磨き粉を毎日使用することで、唾液やプラーク内の0.1ppm以上のフッ化物濃度は維持でき、一定のう蝕予防効果が達成できると考えられています。
(0.1ppmはフッ化物含有歯磨剤を使用して数時間後の濃度です。)
メカニズムとしては、 歯の表層にあるエナメル質では脱灰と再石灰化が同時に進行していて、フッ素が存在することでフルオロキシアパタイトの沈着、つまり再石灰化が進むということです。
(フッ素と歯の関係図です。)
では、先ほどからppmという値がでていますが、
これって実はとても重要な値なんです!
簡単に説明させていただきましたが、フッ化物の濃度を示す際に用いられているppmという単位
この数値が歯磨き粉をむし歯予防として選ぶ際の1つの基準となります!
では、どのくらいの値のものを選ぶのが適切なのでしょうか?
コクランレビューから抜粋すると(1)
・若年者において、1,000ppm以上のフッ化物濃度でしかう蝕予防の有効性が得られない。
・6歳未満の子供ではリスクを考慮しながらフッ化物濃度を決定すべきである。
という報告があります。
けれども日本ではフッ化物濃度が950ppm程度のものが多く、1,000ppm以下に規制されているような時状況でしたが、、、
なんと2017年3月より1,000ppmを超えるフッ化物濃度の歯磨き粉が承認されました!!!
上に出した画像オススメであるライオン歯科株式会社さんから発売されている、check-upの歯磨き粉になります。
この歯磨き粉は現在フッ化物濃度は950ppmですが、今後1450ppmのものが発売される予定らしいです。
もう一つの理由として、低発泡性のためお口の中に長時間含んでられるという点があります。
そしてお子さんに(特に6歳以下)対してオススメなのが500ppmの歯磨き粉です!
(エビデンスには乏しい状況ですが、6歳以下にはフッ化物濃度500ppm以下推奨するという考えがあります。)(2)
check-upシリーズとして出されているのが、check-up gelのバナナ味が500ppmにあたります。
他の味が950ppm,ミント味が1450ppmと味によって濃度が違うので注意が必要です!
また使用方法も詳しくホームページに書いてあるので興味があればご参考ください。
もうひとつ国内でいち早く1450ppmの歯磨き粉を販売したのが、サンスター社のバトラーFペーストαです。
こちらは一般市販もされているので簡単に購入できるかもしれません。
今回紹介させていただいた製品はフッ化物の濃度に注目したものばかりですが、次回研磨剤、知覚過敏、歯周病に対しての歯磨き粉も紹介させていただこうと思います!!
参考文献
1. Walsh.T, Fluoride toothpastes of different concentrations for preventing dental caries in children and adolescents. Cochrane Database Syst Rev 2010 Jan 20;(1)
2 . 荒川浩久, 1,000ppmを超えるフッ化物の濃度の歯磨剤の承認について, the Quintessence. Vol.36 No.6 2017 p43.44